糸を取るための繭(糸繭)を作る蚕の大半は交雑種です。交雑種とは、全く違う品種を掛け合わせて出来た品種のことです。糸繭を作る蚕は日本種と中国種の交雑種が多いです。
日本種と中国種の交雑は、両親の系統に比べて成長速度・大きさ・生存率・生産性などが勝れているという現象が起こる場合があり、これを雑種強勢といいます。日本種どうしや中国種どうしの交雑は、お互いの系統が近いので雑種強勢があまり出ません。
明治時代までは日本在来種が飼育されていましたが、大正時代以降からは日欧や中欧などの交雑種が飼育されるようになり、養蚕の製造性が上がりました。
蚕の雑種強勢の特徴をあげると以下のようになります。
- 雑種の産卵数は親の蚕と比べて著しく増加する。
- 孵化がそろっていて、幼虫の経過が短くなる。
- 病気に対して強くなるので飼育が楽になり、天候不順にも耐える。
- 繭重、繭層量、収繭量が多くなる。
- 繭糸繊度が太くなり、繭糸長も長くなる。