高原社
       
  稚蚕飼育 よい蚕種を製造するにはまずよいカイコを育てることが大切です。
1〜2令のカイコ(稚蚕)は抵抗力が弱いため温湿度や衛生面に細心の注意が払われます。
 
   
只今、えさ切り中。どんどん切ります。たくさんの量を切るので時間はかけられません。カイコの成長にあわせて、与える量も決まっているのでその量に切り分けます。『大胆かつ慎重な作業』です。響きはカッコイイ作業です。
 
 
 
   
(人工飼料)
エサを切削してムラなく与えます。画面左端に現れては消える「鬼課長」の無言の姿が飼育現場の緊張感をかもし出しています。若手職員は一見クールに作業をこなしていますが、内心は
「課長に見られてるとすっげぇやりにくいんだよなぁ…」
 
   
 
    「暑い・・・。汗が止まらない。
早くやらないと怒られちゃう。
まだ要領よくないし。
餌がかたくて切削しづらいよ。」
 
   
  分場  社内で2令まで飼育されたカイコはその後複数の分場(契約養蚕農家)に運ばれ、マユを作るまで桑で育てられます。私たち社員はカイコを届けたり様子を見に行ったり100〜200キロも離れた分場まで頻繁に足を運んでいます。
でも農家の皆さんがいつも温かく迎えてくれるので結構会社にいるより楽しかったりもします。
「分場のみなさんいつもありがとうございま〜す。」
 
   
ムラなく桑をやるのがポイント!カイコの成長のスピードをそろえることが大切です。ちっちゃい体で、でっかい食欲。それがカイコです
 
   
 
    5令のカイコです。いっぱい食べてこんなに大きくなりました。

「きも〜い」なんて思わないで!せめて「きもかわいい」って言ってあげてください。

こうしてすくすくと育ったカイコは、やがてマユをつくりその中でサナギになります。サナギはマユのまま会社に引き取り、適切な温度で保管されます。

 
   
 
   
       
  繭切〜雌雄鑑別 種をとる準備段階として繭切と雌雄鑑別があります。まずは分場から引き取った数十万個ものマユをひとつひとつ切開してサナギを出していきます。地味ですが非常に忍耐力のいる作業なのでおしゃべりしながら楽しくやるようにしています。こうして取り出したサナギは鑑別士によってオスとメスに別けられ別々の部屋に保管されます。サナギの雌雄鑑別は、鑑別の知識はもちろん正確さやスピードも要求される専門性の高い作業です。  
   
製造の時期は会社のOB(女性だからOG?) や、シルバー人材センターのみなさんに応援をたのんでいます。貴重な戦力としてたいへんお世話になっています。
「兄ちゃんたちは彼女いるだかい?」
「兄ちゃんカワイイねぇ、養子に来ねえかい!」
ワタシたち若手社員はこの人たちのいいオモチャになっています。
 
   
 
    単純作業は想像以上にキツイもの。無口ではやってられません。自然とおしゃべりもはずみます。
孫じまんや苦労話、ヨンさまのことなど話題は人それぞれ。
時には○○年前の恋の話まで飛び出すことも!!!
 
   

間違いのないよう赤い皿にはメス、青い皿にはオスのサナギをいれていきます。ベテランの鑑別士はサナギひとつにつき1〜2秒ほどのスピードで雌雄を見分けていきます。専門書を見てもワタシにはオスとメスの区別さえつかないというのに…本当にプロだなあと感心してしまいます。
 
   
  種採り いよいよ実際に種をとる作業です。90センチ×50センチほどの四角いお盆のような木箔に産卵台紙を敷き、その上にメス蛾を均等にならし、上からオス蛾を撒き交尾させます。そのあと一定の時間をおいて割愛(交尾中のオスとメスを引き離す作業)するとメスはしばらくして産卵を始めます。産卵台紙一枚の上に250蛾ほどのメスがあわせて12〜13万粒という種をびっしりと産みつけます。  
   
朝、一斉に羽化したメス蛾たち。今日も忙しくなりそう!
 
    メス蛾は羽化したその日のうちに交配しなければならないため、一度に大量に羽化してしまうとその日の作業はかなりハードなものになります。最初は羽化したばかりの白い輝きに感動のため息をもらしていても、じきに疲労とユウウツのため息しか出なくなります…ハァ…  
   
 
   

只今、雄蛾準備中。冷蔵庫で保護されていた雄蛾たちを箱から出します。そしてこの後、雄蛾たちは待ちに待った雌蛾とのご対面です!
 
   

「はーい!雌蛾のみなさーん、雄蛾ですよー!」

と言わんばかりに雌蛾の乗った台紙の上に雄蛾を撒きます。バランスよく撒くのがポイント。そうでないと、あぶれた蛾がすごく寂しい想いをしちゃうのです。
 
   

 

みーんなくっついちゃいました!こうやってくっつかないと赤ちゃんができません。こんな風にくっつくことを交尾って言います。くっつく相手がいなくて寂しげな蛾がいるのがわかりますか?
 
   
カイコの蛾たちは寂しがりなのかほおっておくとずーっとくっついています。でも、そのままでは卵を産めません。仕方がないので人の手で雄と雌を離します。
…結ばれた二人の仲が、理不尽にひきさかれる…カイコは昆虫界のロミオとジュリエット?
 
   
 
   

お楽しみ中大変申し訳ありませんがこちらの都合で引き離さして頂きます…。
あっ、蛾尿が飛んできた!

 
   

「この仕事に就いて何年経ちますか?」
「もう半世紀経つよ」
「じゃあ、この会社が死に場所ですね」
「・・・・」

 
   

「ここは私が産む場所よ!」
「何よ!私が先に産み始めたんだから、あなたがどっかに行きなさいよ!」

 
   

 


「今年も産みがいいね〜!」
ほんとだ!かずのこみたいで旨そうっすね」
「おめぇ、食っちゃダメだぞ!大事な売り物なんだからよ」
 
  ようやく今年の製造作業が終わりました。しかしこれからがまた大変!複雑な温度管理や寒中に行なう種の洗い落とし、延々と続く秤量…などなど、蚕種が「商品」となるための最後の大事な仕上げが待っています。でも、とりあえずこれで一段落。社員のみなさんをはじめ、今年蚕種製造に関わってくれたすべてのみなさん、本当におつかれさまでした。
そしてお蚕さん本当にありがとう。この世に生まれてから、成長して卵を産み、お役ご免となって廃棄処分されるまで、その一生を人間のためだけにおくったお蚕さんに心から感謝したいと思います。こうしてホームページでカイコのことを語り継いでいくことが、死んだカイコへのせめてもの供養になってくれることを願っています。
 
         
  蚕種製造についてさらに詳しく知りたい方は「蚕種製造の工程」をご覧下さい。  
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